ニュースななめ読み『選択(選択出版)』『東洋経済(東洋経済新報社)』ほか

雑誌のニュース記事を読んだ感想をつらつらと書いています。

5大商社の給与と人 徹底比較(AERA7月23日号)

商社のぼろ儲けが続いているそうな。

各社が最高益を叩きだす景気の良さ。ゆえに、ジリ貧メディアはヨイショ記事を連発するのだろう。

AERAもか、という感じだ。

publications.asahi.com

徹底比較というほどの中身はない。

給与は、1位の三菱商事から5位の丸紅まで、平均年収は全社1千万円越え。

三菱商事が1541万円(42.7歳)でトップ、どん尻の住友商事でも1304万円(42.7歳)。就職先としての人気も相変わらずで、商社マンのモテぶりも変わらないのだろう。まことに同慶のいたりだ。

 

天下泰平の特集記事の中で、唯一面白かったのが、商社の社員寮事情。

伊藤忠は、東急東横線日吉駅から徒歩3分の好立地に、361戸の男子寮を新設したのだとか。栄養価に配慮した朝・夕食まで提供するなんて、「健康経営」を掲げる同社ならでは、といったところか。なにせ会長の岡藤某からして、ライザップへ通う健康オタクなのだから、力も入るのだろう。

ほか、三菱商事も男女合わせて712戸の寮を用意。こちらもジム・フィットネス室付の物件まであるそうだ。

寮に力を入れる理由は「世代や組織の垣根を越えた交流」(三菱商事)、「若手社員の早期育成と強い一体感の醸成」(伊藤忠)だそうな。

しかし、気色悪くないだろうか?この時代に、会社が終わった後も会社の付き合いが延々続くというのは。そうでもしなけりゃ醸成されない一体感とは、ただ単に会社にとって都合の良いものでしかないのではないか。「社畜」の2文字しか頭に浮かばない。

仲間内だけの付き合いの時間が増えることは、多様性のある考え方を育まないデメリットもあろう。時代の最先端を行くようで、時代錯誤な商社業界を映し出しているように思えてならない。

政治部長三人が斬る安倍政権の功罪(文藝春秋8月号)

寒気をもよおすほど、俗悪な記事である。

bunshun.jp

題記のタイトルで、毎日新聞東京新聞時事通信の3社の政治部長が、安倍政権について語る鼎談。

斬るといいながら、ネトウヨ並みのヨイショをする時事の藤野清光部長は、冒頭から酷い。

「『地球儀を俯瞰する外交』として積極的に世界各国を訪問しています。こうした外交手腕に関して、私は率直に評価できると思います」

待て待て。海外旅行にたくさん出かけただけで、「外交手腕」になるのか?手腕というからには、具体的な成果を並べるのが客観公正な通信社の伝え方ではないのか?

「大統領選の直後にトランプタワーまで出かけて行って会談したことで、トランプ大統領の心をつかみ、日米関係が上手く回り始めました」

転記していて失笑がこみ上げてきてしまう。心をつかんだ相手が、日米関係の柱の1つである通商関係について、こんなことを言うだろうか。

「安倍首相はいいやつだが、その顔はほくそ笑んでいる。それは『こんなに長いこと、アメリカを出し抜くことができたとはね』という笑みだ。そんな日々はもう終わりだ」(3月、ホワイトハウスでのトランプ大統領の発言)

 

新聞社・通信社の政治部長とは、こんな浅薄な政治観で務まる仕事なのか。だとしたら、新聞なんぞ、読む必要はないだろう。

記事はその後も、延々既に読んだ新聞の解説話が続く。新しい視点、新しい情報は皆無だ。最後の締めに至っては、「現時点では安倍三選は堅いとされていますが、これから何が起こってもおかしくはない。今後の動きから目が離せません」。

読んでため息しか出ない。今後の成り行きが注目される、いわゆる「ナリチュウ原稿」というやつだ。これから何が起こるのかを、集めた情報と事実をもとに予測するのが、この種の鼎談の読みどころだろうに。編集者はよくこれで満足したものだ。

新聞記者の劣化は、こんなにも進んでしまったのだ。「毎日悲惨、時事地獄」とは、両社の経営状況と社員待遇を指した言葉だが、結局、人材が払底してしまったということだろう。これではまともな権力監視も期待できまい。

 

 

奈落に落ちた「麻原彰晃」(「週刊新潮」7月19日号)

あの日も、そぼ降る雨だった。

オウム真理教の教祖だった麻原彰晃が死刑に処された7月6日の空を見上げて、思い出したのは、彼がシャバで過ごした最後の日、1995年5月16日のことだ。

山梨県上九一色村の教団施設で逮捕され連行される麻原を乗せた車は、降りしきる雨の中、中央道を東京へと向かった。高速道路は完全シャットアウト。移送の車の後方には、報道陣の取材車が続いた。普段なら雨の日は飛ばないヘリコプターを上空に飛ばして、移送の風景は全国に生中継された。たった一人の身勝手な男の逮捕劇のため、中央道は封鎖され、テレビは独占された。

あの雨の日から23年以上が過ぎて、事件はようやく法律上の区切りをつけた。そのかわりに、法律ではおさまりきらない、果てしない疑問と怒りが残された。オウム真理教とは、一体何だったのか。

週刊新潮」は7月19日号で、「エリートを心服させた洗脳技巧」という記事を掲載している。

www.shinchosha.co.jp京大や筑波大の大学院卒者、京都府立医科大卒の医師など、麻原の回りには学歴エリートたちがちりばめられた。なぜ、聡明なる彼らが、インチキ・カルト宗教に引き込まれたのかは、誰もが知りたくなるところだ。

記事の考察は浅い。「その大きな要因のひつつは、弟子たちの神秘体験にあると思います」と、なぜかフォトジャーナリストが語っている。他の専門家も幻覚や「せん妄」が原因と述べているが、それはひとつの要素にすぎないのではなかろうか。

 

エリートが凶悪事件に走るケースで、思い出されるのは、バングラデシュダッカで日本人を含む28人が殺された、2016年7月のテロ事件だ。実行犯は全員20代のバングラ人で、海外留学経験者もいる高学歴者ばかりだったという。裕福な家庭の彼らは、なぜテロで人生を台無しにしたのか。

想像するに、猛烈な自己承認欲求にかられたのではあるまいか。親以上の存在として、学校の成績以上の自分として、誰もがすごいと認める大事を果たし遂げたいーー。その時、宗教はちょうどよい「ツール」となったのではないだろうか。想像の中で、日本とバングラのエリートたちが重なり合う。

 

残念ながら、彼らの承認欲求を、歴史は満たしてはくれまい。狂った「俗物教祖」の名だけを残し、あとは塵となって時間という風に吹き消されるだろう。

大阪地震で増す「活断層」への誤解(『選択』7月号)

記録的、という言葉では足りないような気さえする。

西日本にこれでもかと降り注いだ大雨は、水害の恐ろしさを今年も見せつけた。毎年のように繰り返す記録的な豪雨は、これからも続くのだろう。それが地球温暖化の影響なのかどうかは、誰にも分かるまい。気象のような地球にまつわる科学の研究は、まだまだ分からないことだらけなのだから。

そのことを良く伝えている雑誌記事が、『選択』7月号にのっている。

大阪地震で増す「活断層」への誤解 | 【公式】三万人のための総合情報誌『選択』- 選択出版

6月18日に発生した大阪北部地震についての論考で、「活断層」に焦点をあてたものだ。地震後、メディアには活断層という言葉が躍ったが、そもそも地震活断層の因果関係すら、いまだ解明されていないのだと記事は伝える。

「『(今回の地震震源周辺の)3つの活断層帯などに関連した活動の可能性がある』 発生当日に気象庁で会見した、政府の地震調査委員会の平田直委員長はこう指摘した」

これに対して、地震学の教授は「科学的にみれば大きな飛躍だ」と一刀両断。「今回の震源は3つの断層帯の近くだった。しかしそれ以上はまったくわからない」とすべきだったと語っている。

別の地震学者は「断層はいたるところにあるが、極論すればそれが地震の原因なのか、結果なのかさえわかっていない」と明かしている。1995年に起きた阪神・淡路大震災ですら、地震のメカニズムはいまだに解明されていないという。そう言われると、今回、直後に活断層を持ち出した政府関係者の言は、信用できないように思える。

記事は阪神大震災後に、活断層などの地震研究の予算が、一気に積み増されていったと指摘し、「活断層バブル」が生じたことを批判している。地球について分からないことを研究するのは結構なことである。が、いたずらに恐怖を煽ることで、自らに利益誘導しようとすれば、それは科学の進歩のためというより、研究利権と言わざるをえない。

税金を投じた科学研究が国民にもたらすべきは、科学的真実だけだ。分からないなら、分からないと正直に語るモラルが求められる。

「世界が怒る犬肉祭りの実態」(『ニューズウィーク』7月10日号)

すさまじい、の一語に尽きる。

中国は広西チワン族自治区の玉林市で、毎年、夏至の頃に開催される「犬肉祭り」。ニューズウィークの記事は、痛ましい写真とともに、残酷な実態を詳しくリポートしている。

www.newsweekjapan.jp

記事によると、「中国は世界一の犬肉食大国」で、年間に1千万頭、肉にして9万7千トンが生産されているのだとか。

玉林では、一時期に大量の犬肉が必要となるため、「祭りの時期になると、膨大な数の犬を確保するため盗みまで働く」という。犬泥棒までするわけだ。

記事の筆者であるヒューストン大学のピーター・リー准教授は、3回、玉林の犬肉祭りへ出向いたそうだ。「仲間の処刑を目の当たりにした犬たちの様子には胸がつぶれそうになった」と現場の残忍さを伝えている。「犬たちは仲間が殺されるのを見まいとして、何頭かで一緒にうずくまるか、物陰に隠れようとする」のだという。

犬を殺す労働者にとっては、単なる「事務的な作業」。「痛めつけている暇はない。さっさと殺さなきゃ」と、何の躊躇もないようだ。彼らも仕事だから仕方がないのだろう。他に稼ぎのいい職があれば、なにも好きこのんで犬殺しをやらないのではないか。

 

記事には、団体客が犬鍋を囲む写真も添えられている。なんと残酷な民族だ、と日本人は責めるかもしれない。

しかし一方で、日本にも不都合な真実がある。

年間で、犬1.6万頭、猫6.7万頭。日本における殺処分の数である。

食べこそしないものの、目に見えないところでは、粛々と犬猫殺しが繰り返されているのだ。余命ある動物の命を、人の手で奪うという点で、中国と何ら変わりがない。処分しなければならない事情を作り出したのは、日本人の身勝手な都合なのだ。その事実から目を背けて、中国や韓国を非難するのは、とてもフェアとはいえない。

日本が道義の国であるためには、生きとし生けるもの全てに対して、優しさと憐みを示さねばならない。ペットの殺処分など、最も恥ずべき行為であり、玉林の記事は他山の石とせねばなるまい。

 

「食べてはいけない国産食品」で反撃の週刊新潮

やられたら、やりかえす。

先日、当ブログで紹介した「食べてはいけない『国産食品』実名リスト」を巡る週刊新潮週刊文春の小突きあい。7月12日号では、新潮の方が案の定、やり返した。

www.shinchosha.co.jp

先週号で「食べてはいけない」シリーズをコテンパンに叩いた週刊文春に対して、新潮は「ご都合主義」と指弾し、「『週刊文春』も添加物の発がん性を断じていた」と、過去には自分たちも同様の記事を掲載していたではないか、と難じている。そもそも売れれば何でもありなのが週刊誌だから、ご都合主義は当然だろうと突っ込みたくなる。

新潮の記事では、食品評論家なる人物がコメント。「週刊文春は以前は宿品添加物の危険性を繰り返し指摘してきて、私もコメントをしたことがありますが、今回、掲載された記事は真逆の内容。主張が180度転換してしまっており、この変わり様は一体何なんだ、と思いますよ」とばっさりやっている。

まあ、このような田舎プロレスをやりながら2誌で話題を作っていくのが、昔からの戦略なのだろう。いわば、持ちつ持たれつ。仲が悪いようで、実態はお神酒徳利といったところか。

ただ、こうした話題作りも、あまり奏功していないようだ。

2017年下期の公称部数(平均)は、週刊文春が36万3159部、週刊新潮が24万2440部。前年同期比では、前者が7万4000部ほど、後者は2万部近く減少している。年間の売り上げで2割も落としたら、普通の会社では誰かの首が飛ぶ事態だろう。「食べてはいけない」シリーズは、新潮にとって久々のヒット企画なのだろうが、読者はすぐに飽きるに決まっている。今回の文春とのじゃれ合いは、企画の賞味期限の「延長策」となるのだろうか。

ちなみに、週刊文春7月12日号では、小室哲哉を再び叩く特集をやっている。同誌は1月25日号で、小室の不倫疑惑を報じているが、この報道が引き金で小室は引退を表明。これに怒った女性たちが、文春から離れていき、部数を減らした、との分析もある。今回の遺恨試合で、女性たちの信頼を、はたして取り戻せるのだろうか。そっちの方が、当事者たちの関心事であろう。

三菱マテリアル「驕慢企業の末路」(『選択』7月号)

築城10年、落城1日。

名門財閥の一員が長きにわたって磨き上げた金看板も、泥をぶっかけてしまえば瞬時に輝きを失ってしまう。

三菱マテリアルの品質不正を巡る一連の対応は、名門の誉れに胡坐をかいた経営者たちの愚かな姿を世人にさらした。『選択』7月号では、「犯行」の一部始終を詳細に記している。

《企業研究》三菱マテリアル | 【公式】三万人のための総合情報誌『選択』- 選択出版

「意図的なデータの改竄ではなく、転記ミスと判断した。直轄の主力事業所で品質管理に甘さがあったことは重く受け止めているが、顧客との間で解決済みの問題で(公表しなかったことは)適切な判断だった」
 6月22日夕に都内で開かれた三菱マテリアルの記者会見について、記事では、「本来なら2回必要とされる製品試験も1回しかやらず、かつそれが継続的に繰り返されてきた」のに、それをも「意図的でなかったとでもいうのだろうか」と問いかけている。

もちろん、当然、意図的であったのだろう。バレバレなのに、平然と嘘をつく。首相、財務大臣を筆頭に、エリート官僚や学校経営者までが嘘だらけなのだから、今さら民間企業の社長が嘘をついても驚きはしない。三菱マテも、さしたる痛痒は感じていないだろう。

消費者になじみはないが、三菱マテリアルは、「三菱財閥の総本山・三菱合資会社の流れを汲むとされる名門」だ。御三家ではないものの、三菱UFJ三菱商事三菱重工につぐ社格なのだそうだ。それゆえか、御三家の社員に対しても、時に高慢ちきな態度を取る、と聞いたことがある。今回の不正ごまかしは、いらぬプライドゆえに、嘘を嘘で塗り固め続けることになったのだろう。日本のリーダーたちは、何でこんなにも愚劣になってしまったのだろうか。

『選択』7月号には、その回答ともいえるインタビュー記事ものっている。

地に堕ちた日本人の「道義」 | 【公式】三万人のための総合情報誌『選択』- 選択出版

併せて読むと、暗澹たる気持ちになる。