ニュースななめ読み『選択(選択出版)』『東洋経済(東洋経済新報社)』ほか

雑誌のニュース記事を読んだ感想をつらつらと書いています。

「皇宮警察」は皇室を守れるのか?

尊皇派の右翼たちは、良く黙っていられるものだ。

4月、秋篠宮家の悠仁さまが通う小学校の教室に賊が侵入し、ご本人の机の上にナイフを置いて去る事件が起きたのは周知の通り。犯人は「(悠仁さまを)殺すつもりだった」と供述しているという。体育の時間でたまたま教室にいなかったため大事には至らなかったが、もしかしたら惨事となっていたかもしれないのだから、誰の責任か追及する声くらい上がっても不思議ではない。なのに、皇室大好き日本人の間ですら、不思議と怒りも疑問もわいてこない。たった3人しかいない皇位継承資格者の、大切な1人だというのに、だ。

 

そんな折、笑うに笑えない記事が、『選択』に掲載されていた。

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皇室を守るための組織である皇宮警察が、実はガタガタだという内容。

例えば、皇居の警備。「交代勤務のため、広大な皇居を数十人という人数でカバーしている。銀行などの方がよっぽど強固にガードされている」。関係者は辛辣に批判している。

「忍び込もうとしなくても、不審者が門を通過して正々堂々と『侵入』することもある」という。出入りのチェックはかなり杜撰なのだそうだ。

天皇を守る「側衛官」というのも、頼りないらしい。2013年の園遊会で、山本太郎参院議員が突如として天皇の前に進み、手紙を手渡した事件をご記憶の方も多かろう。あの時、当時の護衛第一課長は「制止しないばかりか、ピクリとも反応しなかった」というから、呆れるではないか。

公私にわたり、皇室の方々と行動を共にしているはずの皇宮警察官。プライベートな部分にも目を光らせるべきであるのに、その役目が果たせていないと記事は指摘する。眞子さまの婚約問題だ。デートを重ねている段階で、なぜ小室家についてきちんと調べなかったのか。金銭トラブルくらい、その辺の興信所でも簡単に調べがつくだろう。ましては「警察」と名のつく大組織である。婚約問題がここまでこじれてしまったのも、元をただせば、日々の警護にあたっている者たちの配慮不足に端を発しているということのようだ。

このまま無能ぶりを曝け出し続けていると、そのうち「セコムなどの民間と交代した方がいい」という声が出かねない、と記事は揶揄している。

令和の皇室を、はたして守り切れるのか。

広島県警から消えた八千万円の行方

世にも奇怪な話である。

泥棒を取締り、悪党に法の裁きを受けさせるはずの警察で、その内部の金庫から8千万円もの大金が消えうせたのに、犯人は捕まらず、迷宮入りとなりそうだという。

舞台は、広島県警管轄の広島中央署。2017年5月に、1階にある会計課の金庫から、現金8572万円が盗み出された事件が発覚した。

こんな大事件なのに、大メディアはほとんど報道していない。広島県警が発表する内容を、そのまんまに報じているだけだ。

唯一、『選択』の4月号が、かなり踏み込んだ話を伝えている。

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記事よると、「発覚から2年近くたっても犯人の総研には至っていない。おまけに、現在まで処分者はゼロ」だという。警察の無責任体質、これに極まれり、ではないか。

しかも、事件当時の県警本部長は、「在職中に一度も事件の記者会見に応じないまま、発覚から1年も経たない18年1月16日に中部管区警察局長に『栄転』」したそうだ。面の皮の厚い連中である。

この本部長によると「外部から侵入された形跡がない」というから、そうなると「解錠できる職員は限られている」はず。捜査はそれほど難しくはないはずなのに、犯人が特定できないのは、身内が相手で、しかも何か深い事情があるからだろう。

記事は、実のところ、犯人はほぼ絞り込まれていることを伝えている。

「県警は事件解明のカギを握っているのが中央署内の女性職員である事実を突き止めたんです。ところが、事情聴取でこの女性に『幹部との不倫関係を洗いざらいばらす』と居直られた」そうだ。

これが事実だとするなら、迷宮入りではなく、単なる隠蔽となる。

目下のところ、事件発覚後に死亡した男性警察官が犯人に擬せられ、容疑者死亡のまま窃盗などの疑いで書類送検する方向、だという。口なしの死人に無実の罪をおっかぶせ、真実を闇に葬ろうという、毎度の手口で処理をするようだ。

こんな腐った連中が、我々市民に社会のルールを守れと迫るのだから、盗人猛々しい話である。嘘つきは警察の始まりーー、そのうちそう言われるようになるだろう。

終わらぬ戦争「遺骨収集」という深刻な問題

安倍首相は「戦後日本外交の総決算」と口癖のように言う。

それはロシアと平和条約を結び、北方領土問題を解消することを指すようだ。

しかし、本当の意味で総決算するべき戦後日本外交の課題は、他にもある。

『選択』3月号「日本のサンクチュアリ」の記事。

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このブログ執筆時点では、まだほとんど誰も問題にしていないが、記事の指摘が真実ならば、極めて深刻な事態といえよう。

 

太平洋の赤道直下に近いギルバート諸島のタラワ島。太平洋戦争の激戦地の1つで、この島には朝鮮人の強制徴用労働者が1千人ほど連れて行かれたと推定されている。このうち、捕虜となって生き延びた人を除く800人強が島で亡くなったようだ。

無理やり連れて行かれた挙句、戦闘に巻き込まれて死亡し、さらには遺骨すら祖国に戻そうとしないーー、韓国人でなくても、どこの国の人でも怒る話である。

日韓関係が険悪化している最中、文在寅政権の次なる日本攻撃の一手が、この遺骨収集問題になるだろう、と記事は指摘している。

韓国は、遺骨収集では科学的かつ徹底的な活動を続けている米国に働きかけ、タラワ島での収集を、日本を外して、共同で進めようと持ちかけているのだそうだ。日本除外の理由としては、厚労省による遺骨収集事業が杜撰で、DNA鑑定などの科学的手法を用いず、現地で「焼骨」してしまうからだという。

「過去、私たちの力がなくて(日本に強制されて戦地に韓国人が)連れ去られたが、今になって遺骨奉還作業まで日本に振り回されることは断じてないだろう」

韓国の行政安全部長官は、こう語気を強めているそうだ。民族感情としても、無理からぬものがあり、責任ある側の日本としては、真摯に耳を傾けるしかない。

日本としては、遺骨収集を日韓外交の政争の具にしてしまわぬためにも、韓国側の意をくむ形で真剣に取り組む必要があろう。あらゆる努力をしても、韓国が政治問題化するならば、それには粛々と対応するしかない。

一番の癌は、海外での遺骨収集作業で、日本人以外の骨や、はては動物の骨まで混ぜて、「遺骨を集めた、頑張った」と宣伝している厚生労働省であろう。戦後70年以上がすぎて、遺骨収集自体が利権化してしまっていると記事は伝えている。

安倍政権が戦後外交の総決算に本気で取り組むのであれば、韓国との遺骨収集問題は避けて通れない課題となるだろう。くれぐれも韓国政府のポピュリズム政策に足元をすくわれないよう、十分に準備をしておく必要がありそうだ。

「リキッドバイオプシー」はがん検査の革命か

2つの雑誌で、ほぼ同時に「リキッドバイオプシー」という見慣れない新語が登場した。

1つは、選択出版の『選択』2月号。

www.sentaku.co.jpもう1つは、朝日新聞出版の『AERA』2月11日号。

publications.asahi.com

 

従来のように、生検で体の組織の一部と採らなくても、採血だけで様々ながんの早期発見を実現できそうな新手法ーー、どちらもそう伝えている。

リキッドバイオプシーとは、血液などの体液(Liquid)による「生検」(Biopsy)のカタカ英語。

血液だけで、どのようにしてガンを発見するのか。

AERAによると「ひとつは、血中に流れ出てくるがん細胞、CTCを調べる手法です。もうひとつは、がん細胞から流れ出たDNAのかけらを調べるというもの」だそうだ。詳細は専門的なので省くが、簡単にいうと、体のどこかにがんが発生している場合には、そのサインとなるものが血液に含まれており、ごく微量の血液からでもそのサインを見つけ出せるようになりそうだ、という話。

『選択』によると「この技術はまだ初期段階とはいえ、結果は驚くべきものだった。肝臓がんや卵巣がんでは、ステージ1でもほぼ100%検出できた」という。改良が進めば、患者が多い肺がんや、致死率が高い膵臓がんでも早期発見が可能になるだろう、と予想している。

一方で、AERAは「『夢の検査法』ではない」と断り、「現時点でリキッドバイオプシーを行っても、遺伝子変異が検出され自分に合致する薬が見つかる確率は、わずか5~10%程度」と暗い現状を伝えいてる。

ただ、そういう難点も、日進月歩、いや分進秒歩の速度で改善されていくだろう。問題は、そうした最先端の研究が日本ではなく、毎度のことながら米国など海外で進んでいることだ。

科学技術立国を目指す、と安倍政権は言うけれど、実態が伴わないのは、これまた毎度のことである。

 

胸部X線写真「肺がん検診」は何のため?

とかくに日本人は非合理な性格である。

世界では「無駄」と結論付けられているがん検診を、金科玉条のように墨守して続けている、と知って、改めて国民性を考えさせられた。

www.sentaku.co.jp『選択』1月号(選択出版)の記事によると、健康診断の際に撮る胸部X線検診で、がんの早期発見ができるのは、30%ほどだという。「世界的に有名な臨床医向けのマニュアル「UPTODATE」によれば、なんと全ての臨床試験で、X線検診の効果は確認できなかった。(中略)この事実は、X線検査の感度が悪く、多くの早期がんを見落としている実態を示す」と記事は指摘している。「見つかるのは進行がんで、根治や延命は期待できない」とも。もちろん例外はあるのだろう。ただ、例外のために、莫大な費用をかけて大々的に検査をやって、果たして費用対効果は見合っているのだろうか。

世界では、高齢の喫煙者など肺がんのハイリスク群に絞り込んで「低線量CT検査」というのを実施しているという。通常のCT検査に比べて、4分の1程度の被爆で済むそうだ。これで肺がんによる死亡のパーセンテージを下げることに成功しているという。

日本では、なぜ胸部X線写真にこだわるのか。

おそらく、その効果については、誰も関心がないのだろう。あるのは、検査機器を納めるメーカーの利益と、購入した以上は稼がないと、とガメつく考える医療機関、前例踏襲が一番楽な厚労省の、身勝手な思惑だけではなかろうか。

医療費の膨張が指摘され、社会保障の破綻が危惧されている。しかし、こうした効果のない検査にジャブジャブ公金を投じている無駄が、まだまだたくさんあるようだ。医療行政と現場に、優秀なコストカッターを据えれば、医療費の抑制は十分に可能だと思われる。

医師会のような既得権益者をいかに封じ込め、効果と効率の意識を高める医療政策・行政を進めることが、日本医療の崩壊を食い止める唯一の策であろう。

豚コレラ騒動の次は「アフリカ豚コレラ」

東京で「全国紙」というのばかり読んでいると、バカになる。世間のことに、かえって疎くなるーー、そう思えてならない。

 

岐阜県で12月23日から24日にかけて、大規模養豚場で「豚コレラ」の感染が確認され、7500頭の殺処分が必要となったと報じられた。驚くことに、自衛隊に部隊を派遣するよう要請したという。すさまじい出来事ではないか。

問題は、岐阜の豚コレラが、昨日今日始まった問題ではないこと。

何か月も前から、県および中京地区、畜産業者の間では大ニュースになっていたのだ。

なのに、全国紙(テレビのキー局も)はこのことをほとんど報じていない。豚の疫病であって、人間には感染しないから、というのが呑気に構えている理由なのだろう。

 

しかし、これが日本人の食卓、毎日の食事を大きく揺るがす可能性が大であることを、月刊誌の『選択』(選択出版)は12月号で詳細に報じている。

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記事の中心は、今、中国で感染拡大が続いている「アフリカ豚コレラ」(アフトン)の話だ。従来の豚コレラとの違いは、アフトンには予防のためのワクチンがないこと。つまり、日本でひとたび感染が始まったら、殺処分以外に食い止める方法はない。豚コレラには、ワクチンがある。ただ、これを使って対処すると、日本は豚コレラの「汚染国」と認定されてしまうそうだ。

汚染国は、非汚染国への豚肉の輸出ができなくなるだけでなく、同じ他の汚染国からの豚肉の輸入を拒めなくなるという。つまり、日本が豚コレラの駆逐のために努力している最中に、感染豚肉が輸入されてくるというリスクを抱えるわけだ。豚のエサになる残飯に感染肉が入っていればアウト。感染の火種はくすぶり続けることになる。

 

全国紙では知りえないが、岐阜県は初期の対応を大幅に誤り、今の騒動につながっているという。県産豚の大元「タネ豚」を飼育している厳重管理の県施設でも、豚コレラが発生。県民の宝、資産である高価なタネ豚まで殺処分となってしまったのだ。

従来型の豚コレラでも、この体たらく。ましては新種のアフトンが感染拡大を始めようものなら、鹿児島、宮崎のような養豚王国は、パニックに陥るだろう。2010年の口蹄疫流行の時の悲劇の再来である。

 

日本列島には、同じく豚コレラに感染する野生のイノシシが増えすぎた。これも感染拡大の要因となろう。アフトンは、2019年、必ず日本に上陸するだろう。G20会議やラグビー・ワールドカップなど、世界中から人が集まる国際イベントが目白押しだが、深刻な影響が出る可能性も秘めていることを、全国紙の農業担当記者は勉強しておくべきだろう。

東大病院で手術の「練習台」にされた患者

妙なホラーより、はるかに背筋が寒くなる話である。

『選択』12月号(選択出版)が報じた、東大病院での手術死亡事故の隠蔽事件。カルテやX線写真の画像が散りばめられていて、非常にリアルな内容だ。

www.sentaku.co.jp事件は拡張型心筋症の治療のため入院していた患者に起きた。

東大病院の循環器内科の医師たちは、この患者に対して、今年4月に保険適用となったばかりの新たな医療機器を用いて手術を行った。

「マイトラクリップ手術」と呼ばれる方法は、しかし「心機能が低下した患者では、効果が期待できないばかりか、治療が命取りになる」という。患者は、この手術を適用してはいけないレベルの状況だった。

おまけに医師たちは未熟だった。カルテに記述が生々しい。

「何度通電しても穿刺(心臓に穴をあけるために針を刺すこと)できず」「可変式カテーテルなどを使用するも穿刺できず、これ以上の手技継続は合併症のリスクを考慮し、本日の手技中止とした」

つまり、何をやっても全然うまくいかず、「もう止めた」というわけだ。

関係者は「あれは手術ではなく『人体実験』の果てに引き起こされた人為的な事故だ」と語っている。

手術後が、またひどい。

カルテには、「術後胸部xp(X線写真)は特に問題なし」と記している。しかし記事に添えられたX線写真には、「気胸」つまり肺に穴があいて空気がもれていたり、血がたまったりしている状況が写し出されているのだ。専門医は「心房中隔を狙って打つべき電磁波を、心房壁の別の場所に向かって打ち、肺に穴を開けてしまったのだろう」と推察している。「そうであれば、まぎれもない医療ミスである」。

患者は手術後、わずか2週間ほどで死亡した。

遺族である母親に対する扱いが、またひどい。

病院側は、母親を「認知症」だと決めつけ、手術や死に至る経緯をロクに説明していない。そして、母親に解剖を諦めさせ、火葬してしまったのだ。「本人は認知症の診断は受けていない」と否定しているという。

さらに病院は、患者の死亡診断書でも隠蔽工作を働く。なんと死因のところには、「病死及び自然死」のところに丸をつけているのだ。「未婚独居」だった患者は、東大病院にとって好都合な存在だったのだろう。「失敗しても、文句を言ってくるのは母親くらい。なんとでも丸め込める」と。

記事の内容は、おそらく本当なのだろう。証拠がきちんと示されているからだ。

これは果たして医師、というか人間の所業なのだろうか。東大病院に入院してしまったばかりに、手術の実験台にされたあげく、闇に葬られてしまったーー。こんなことが許されていいのだろうか。