ニュースななめ読み『選択(選択出版)』『東洋経済(東洋経済新報社)』ほか

雑誌のニュース記事を読んだ感想をつらつらと書いています。

Jパワー消滅『選択』8月号(選択出版)

 国家総力戦の時代、電力国家管理の持ち株会社として、日本発送電が作られた。戦後、GHQによって電力九社に解体されたが、各社ともに資金不足で電力供給が不足し、それを補うべく設立されたのが、今日の電源開発(Jパワー)らしい。
 既に経産省東京電力中部電力の燃料・火力事業を完全統合させることになっており、「国策会社」による電力統制が進められている。『選択』8月号(選択出版)によれば、経産省はこの余勢を駆って、さらにJパワーも引っ付けてしまうつもりだとか。
 ただし、一方のJパワーも独自に電力再編を模索しており、状況は流動的だという。いずれにせよ、発電業界に地殻変動が発生するのは間違いないようだ。

『選択』8月号(選択出版)

介護業界の海外進出『ダイヤモンド』8/12・19合併号(ダイヤモンド社)

『ダイヤモンド』のお盆合併特大号は、介護特集だった。未亡人が嫁ぎ先の義父母介護義務から逃れるために「姻族関係終了届」を出すケースがあるだのといった生々しい話もおもしろかったが、介護の「海外進出」が興味深かった。
「高齢化先進国」日本の国策として、高齢者ビジネスモデルの海外展開を推し進めようとしているそうだが、「日式介護」は中国で苦戦しているらしい。
 立地が悪い、といった論外な原因のほか、「中国は人手不足にしても日本以上に厳し」い、という、確かに考えてみれば当たり前な理由が挙げられており、唸らざるを得ない。日本で育成した中国人の人材も、中国企業に高給で引き抜かれてしまうというが、要は日本企業にカネがないということだろうか。
 最近では進出するどころか、中国企業は日本の介護事業者の買収に興味を示しており、既に数件成立しているのだとか。
 どうも、いよいよ日本も焼きが回ってきた感がある。

『ダイヤモンド』8/12・19合併号(ダイヤモンド社

中外製薬が抗がん剤で「研究不正」『選択』8月号(選択出版)

『選択』8月号(選択出版)によれば、中外製薬抗がん剤に絶大な治療効果があるとする臨床研究結果は、同社が多額の資金提供をする団体の医師らによって為されたものだという。
 ドラマにでも出てきそうな「お手盛り」事案だが、コンプライアンスに厳しい今も、こんなベタなことが発生するのかと、感心してしまった。


中外製薬抗がん剤で「研究不正」『選択』8月号(選択出版)

インド経済は何故中国を越えられないのか『選択』8月号(選択出版)

「中国の次は」と言われ続ける大人口国のインドだが、「世界経済のネタ帳」にあったグラフを見ると、名目GDPでの引き離されっぷりは、もはや話にならない。「ライバル」というのも恥ずかしいだろう。

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 インドが経済の対外開放を開始したのは90年代前半、ちょうど中国で改革開放が本格的に始まったのと時期を一にしているはずだが、インドはここ二十年余の間、なにをしていたのか。どうすればここまで差がつくのか。

『選択』8月号(選択出版)に、そのものズバリ「インド経済は中国を越えられない」というストレートな記事が掲載されていた。

 なんでもインドはこの度「GST」なる税制改革に乗り出したらしい。従来、州によって税率が異なり、商品が州を跨ぐには税関で「入州税」を納付する必要があったのだという。是非とも改革すべき、というよりもむしろ、よくも今まで続けていたものだと呆れてしまう。

 製造業が発展しないことには底上げがなされないが、中国を追いかけるどころか、東南アジア諸国の猛追を受けている有様だという。IT産業さえ、「脱インド」の兆しがあるのだとか。

「中国を追い抜く」要素は生産年齢人口以外、本当に何もないようで驚いた

 

インド経済は中国を越えられない『選択』8月号(選択出版)

南スーダンの写真『ニューズウィーク』8/1号(CCCメディアハウス)

 東京メトロの車内で「緊急事態です」という広告を見たのは、5年ほど前だったか。独立したばかりの南スーダンが、食糧危機に陥っており、支援金を募るものだった。肌が黒い子供の写真が此方を見つめる「お決まりの写真」に、正直なところ白々しい気がした。独立して早速食糧危機に直面するようでは、国としての体を成す前に破綻したも同然なのではないかと。

ニューズウィーク』8/1号(CCCメディアハウス)に、「誕生から6年 飢えゆく南スーダン」という、写真が中心の記事が掲載されていた。

 松の木のようにゴツゴツした焦げ茶色の脚、左右互い違いの方を向けた虚ろな目玉、半開きの口。コレラに侵されたこの男の上半身を後ろから支える男性は、近親者だろうか、目を真っ赤に充血させている。

 この、魂魄が肉体を離れようとしている瞬間を捉えたかの如き写真を撮影したブッチャレリは、シリア内戦やウクライナ東部の紛争も取材してきたが、南スーダンはこれらと比べても、「人々は何も持っていない。私が見てきた中で最悪の場所だ」という。

 死体よりもはるかに強烈に「死」を感じさせるこの写真からは、その現実が生々しく伝わってきた。

 

 『ニューズウィーク』8/1号(CCCメディアハウス)

全面崩壊に向かうトランプ外交『選択』7月号(選択出版)

 トランプ大統領の就任から、早いもので半年が過ぎた。支持率は戦後最低水準にあるらしいが、急進的な政策に対する反発、というわけでもなく、公約の実現すら停頓しているというのだから、処置なしのようだ。
 欧米で騒がれた移民の取り扱いやらについて、私はあまり興味がない。日本人の多くがそうだと思う。アメリカのことなのだから、不法滞在者を追い出そうが受け入れようが、アメリカの国内法にもとづいて粛々とやればよろしい。
 そうはいかないのが、外交問題である。『選択』7月号(選択出版)にトランプ外交関係の記事が2本掲載されていた。
 ひとつは、「日本は米国の『裏切り』に備えよ」という記事。
「『一帯一路』がらみで勢いづいている中国主導の国々に対して、米国が主導してきた国々には一体何事が起きてしまったのだろうか。情緒的表現の使用が許されれば、覇気のようなものが失せてしまったのではないか」と嘆く先には、TPPに続きパリ協定脱退をぶちあげ、メルケル首相がトランプ大統領と距離を置くなど、太平洋・大西洋両方面で米国が後退している事実がある。
「トランプ外交『自滅』への道」という記事では、中東やインドにも触れられていた。
 サウジは言うに及ばず、カタールも米軍が基地を置く同盟国の一つであり、米国にとって今回の断交騒ぎは、同盟国同士の内輪もめに他ならない。にもかかわらず、トランプ大統領はツイッターで、あろうことかカタール批判を展開、米・国務省は火消しに躍起となった。どうやら背景では、胡散臭い側近が糸を引いているらしい。
 インドは「ディール」好きのトランプ大統領と交渉するにあたり、「では米国は何をくれて、インドは何を提供するのか」と悩んだ結果、よくわからないのでロシアに接近することにした。
 北東アジアへのコミットも、習近平主席との会談中、シリアをミサイル攻撃したのがハッタリだと見透かされたようで、どうも舐められてきている。韓国は文在寅が中国寄りなので、話にならない。
記事中にある、「安保・防衛の事務レベルではともかく、首脳級で『日米印豪』の同盟を真剣に考えているのは、安倍首相だけだろう」との指摘がなんとも恐ろしい。


日本は米国の「裏切り」に備えよ『選択』7月号(選択出版)
トランプ外交「自滅」への道『選択』7月号(選択出版)

中国自動車市場と日系企業『東洋経済』7/15号(東洋経済新報社)

 中国の自動車年間販売台数は既に米国の1.6倍、世界最大の市場である、というのは当然のことなので驚かないが、『東洋経済』7/15号(東洋経済新報社)の「深層レポート」、「中国車の大躍進」の内容には少し驚いた。
 中国人が日本の高級家電を「爆買い」したのはもう数年前だが、いまだに中国市場というと、「薄利多売の世界」というイメージが抜きがたい。ところが、ホンダの社長は「今の中国市場には世界最先端の車が走っている」という。
 なかでも気になったのは、電気自動車(EV)だ。大気汚染対策の意味もあって中国政府がEVの普及に注力している、というのはあちこちで聞くが、EVとプラグインハイブリッド車を合わせた自動車市場での世界シェア首位は、中国の比亜迪汽車(BYD)らしい。
 BYD本社のある深圳ではバス・タクシーの電気自動車への置き換えが進んでおり、ディーゼルのバスは来年9月までに、ガソリン車も2020年までに全車EVに置き換えられ、しかもその9割がBYD製となるそうだ。
 電気自動車はインフラを整備し直す必要があるのがネックとなっているが、中国政府主導のプロジェクトとなれば、簡単に解決してしまいそうなのは想像できる。すると、今後BYDが世界最大の電気自動車メーカーとして、圧倒的な力をつけるのは間違いないだろう。
 一方の日本勢だが、まず、日産は「各社が新たに発売するEVによって選択肢が増えれば、市場は爆発的に拡大するかもしれない」と期待をこめ、18年に新型を2車種投入の予定、ホンダは世界展開に先駆けて、中国専用のEVを同じく18年に投入するらしく、両社とも相当に力を入れていると見られる。
 この記事で名前も挙げられなかったトヨタは、『選択』(選択出版)で散々指摘されていたとおり、ハイブリッドに固執してきた関係で、量産開始は2020年の予定と、昨今の中国市場のスピード感から考えれば論外と言うべき出遅れが確定してしまっている。
 プラズマテレビが消滅し、世界の亀山モデルもなくなったように、トヨタハイブリッド車が10年後も存在しているかどうかわからない。ここがトヨタのターニングポイントになった、と後に評価されるのではないかという気がする。
 
中国車の大躍進『東洋経済』7/15号(東洋経済新報社
トヨタが中国市場で「落伍者」に『選択』6月号(選択出版)