ニュースななめ読み『選択(選択出版)』『東洋経済(東洋経済新報社)』ほか

雑誌のニュース記事を読んだ感想をつらつらと書いています。

全面崩壊に向かうトランプ外交『選択』7月号(選択出版)

 トランプ大統領の就任から、早いもので半年が過ぎた。支持率は戦後最低水準にあるらしいが、急進的な政策に対する反発、というわけでもなく、公約の実現すら停頓しているというのだから、処置なしのようだ。
 欧米で騒がれた移民の取り扱いやらについて、私はあまり興味がない。日本人の多くがそうだと思う。アメリカのことなのだから、不法滞在者を追い出そうが受け入れようが、アメリカの国内法にもとづいて粛々とやればよろしい。
 そうはいかないのが、外交問題である。『選択』7月号(選択出版)にトランプ外交関係の記事が2本掲載されていた。
 ひとつは、「日本は米国の『裏切り』に備えよ」という記事。
「『一帯一路』がらみで勢いづいている中国主導の国々に対して、米国が主導してきた国々には一体何事が起きてしまったのだろうか。情緒的表現の使用が許されれば、覇気のようなものが失せてしまったのではないか」と嘆く先には、TPPに続きパリ協定脱退をぶちあげ、メルケル首相がトランプ大統領と距離を置くなど、太平洋・大西洋両方面で米国が後退している事実がある。
「トランプ外交『自滅』への道」という記事では、中東やインドにも触れられていた。
 サウジは言うに及ばず、カタールも米軍が基地を置く同盟国の一つであり、米国にとって今回の断交騒ぎは、同盟国同士の内輪もめに他ならない。にもかかわらず、トランプ大統領はツイッターで、あろうことかカタール批判を展開、米・国務省は火消しに躍起となった。どうやら背景では、胡散臭い側近が糸を引いているらしい。
 インドは「ディール」好きのトランプ大統領と交渉するにあたり、「では米国は何をくれて、インドは何を提供するのか」と悩んだ結果、よくわからないのでロシアに接近することにした。
 北東アジアへのコミットも、習近平主席との会談中、シリアをミサイル攻撃したのがハッタリだと見透かされたようで、どうも舐められてきている。韓国は文在寅が中国寄りなので、話にならない。
記事中にある、「安保・防衛の事務レベルではともかく、首脳級で『日米印豪』の同盟を真剣に考えているのは、安倍首相だけだろう」との指摘がなんとも恐ろしい。


日本は米国の「裏切り」に備えよ『選択』7月号(選択出版)
トランプ外交「自滅」への道『選択』7月号(選択出版)

中国自動車市場と日系企業『東洋経済』7/15号(東洋経済新報社)

 中国の自動車年間販売台数は既に米国の1.6倍、世界最大の市場である、というのは当然のことなので驚かないが、『東洋経済』7/15号(東洋経済新報社)の「深層レポート」、「中国車の大躍進」の内容には少し驚いた。
 中国人が日本の高級家電を「爆買い」したのはもう数年前だが、いまだに中国市場というと、「薄利多売の世界」というイメージが抜きがたい。ところが、ホンダの社長は「今の中国市場には世界最先端の車が走っている」という。
 なかでも気になったのは、電気自動車(EV)だ。大気汚染対策の意味もあって中国政府がEVの普及に注力している、というのはあちこちで聞くが、EVとプラグインハイブリッド車を合わせた自動車市場での世界シェア首位は、中国の比亜迪汽車(BYD)らしい。
 BYD本社のある深圳ではバス・タクシーの電気自動車への置き換えが進んでおり、ディーゼルのバスは来年9月までに、ガソリン車も2020年までに全車EVに置き換えられ、しかもその9割がBYD製となるそうだ。
 電気自動車はインフラを整備し直す必要があるのがネックとなっているが、中国政府主導のプロジェクトとなれば、簡単に解決してしまいそうなのは想像できる。すると、今後BYDが世界最大の電気自動車メーカーとして、圧倒的な力をつけるのは間違いないだろう。
 一方の日本勢だが、まず、日産は「各社が新たに発売するEVによって選択肢が増えれば、市場は爆発的に拡大するかもしれない」と期待をこめ、18年に新型を2車種投入の予定、ホンダは世界展開に先駆けて、中国専用のEVを同じく18年に投入するらしく、両社とも相当に力を入れていると見られる。
 この記事で名前も挙げられなかったトヨタは、『選択』(選択出版)で散々指摘されていたとおり、ハイブリッドに固執してきた関係で、量産開始は2020年の予定と、昨今の中国市場のスピード感から考えれば論外と言うべき出遅れが確定してしまっている。
 プラズマテレビが消滅し、世界の亀山モデルもなくなったように、トヨタハイブリッド車が10年後も存在しているかどうかわからない。ここがトヨタのターニングポイントになった、と後に評価されるのではないかという気がする。
 
中国車の大躍進『東洋経済』7/15号(東洋経済新報社
トヨタが中国市場で「落伍者」に『選択』6月号(選択出版)

加計学園『選択』7月号(選択出版)

 加計学園問題は、結局獣医学部の新設が総理の「ご意向」によるのかという、決定プロセスの問題、愛媛県獣医学部は必要なのか、何故加計学園なのかという政策妥当性の問題や、「岩盤規制」という畜産利権の問題など、様々な論点が錯綜し、「なんだかとにかく炎上している」という、漠然とした印象がある。
 今月と先月の『選択』(選択出版)で、加計学園問題について網羅的に取り上げられていたので、メモとして概要を書き残しておく。

1.加計学園問題を差配した司令塔について
 文科省の前川前事務次官は、「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」と「総理のご意向」を代弁した人物を、和泉洋人首相補佐官だと明言している。
 和泉氏本人は「事実無根」と否定しており、また国会にも出てこないのではっきりしないが、この和泉氏とは何者かという疑問については、『選択』7月号(選択出版)の「日本のサンクチュアリ」で4ページにわたり詳しく報道があった。
 もとは旧建設省国交省で住宅政策のエキスパートとして辣腕をふるったそうだが、業界の利害調整に「官製談合の仕切り役とまでは言わないが」、「官僚離れ」した能力を発揮、際立った異能ぶりを見せていたらしい。
 森信親金融庁長官も「和泉さんの名前を知らない霞が関の幹部職員はほとんどいないだろう」と賛辞を贈るが、いかに多方面にわたり、国家行政に対して影響力を和泉首相補佐官が持っているか、伺わせられる。
 記事中、和泉首相補佐官の「暗躍」ぶりについて縷々記載があるが、これほどの立ち位置ならば、実際に司令塔となったのは、この「超スーパー官僚」との主張は、うなずけるものがある。「政治主導」をうたいつつも、公職選挙により国民の負託を受けていない補佐官が国家行政を差配するという構図は、いかがなものかという疑問がある。ただそうなると、最近よく語られがちな「安倍政権に反旗を翻す官僚勢力」という図式とは齟齬が生じてくるが、政治家でもない首相補佐官が汚れ仕事を担い、いざとなれば首相は知らんふりが可能な構造、と見るべきなのだろうか。

2.加計学園とは何者か
 決してバカにするわけではないが、「加計学園」の「岡山理科大学」と言われても、「岡山にある理系大学なのだろう」程度にしかわからない。『選択』7月号(選択出版)に、経営状況から加計学園に切り込んだ記事が掲載されていた。
 なんでも、岡山理科大の学部新設は獣医学部に始まった事ではなく、2010年代に入ってから、生物地球学部、教育学部経営学部と、立て続けに行われているそうだ。この少子化のご時世、ましてや地方都市で大丈夫なのかと心配になるが、この間、内部留保を着実にため込んでいるらしい。なお会計上、マイナスとなっている大学が大半を占め、慶応なんかも相当の赤字出しているのだとか。
「健全経営」の秘訣は、これはもう単純に言えば、出費を切り詰めているかららしい。学生からすれば、同じ学費を払っていくのなら「損」な大学と言うべきだろう。やはり、京都産業大学にでもやらせた方がいいのでは、というのが記事を読んだ感想だ。

3.「畜産利権」について
「岩盤規制」というが、今回はどうもその「抵抗勢力」が明示されない珍しい事態になっている。インターネット上では民進党玉木雄一郎代議士の家族が獣医師で、愛媛県獣医師会から献金を受けていたとかで炎上していたが、なんとも話が小さい。
『選択』7月号(選択出版)によれば、加計問題が報道された発端は、自民党分裂選挙となった福岡6区補選らしい。というのも、古賀・麻生派推した蔵内勇夫氏こそ日本獣医師会会長、麻生太郎副総理こそ自民党の獣医師問題議連会長なのだという。どこからどう見ても「岩盤規制」で守られている「体制側」はこのラインだが、何故話題になっていなかったのだろうか。まさか麻生派を持ち上げて「安倍叩き」をするわけにもいかない、というところだろうか。籠池理事長や前川前事務次まで使ったのだから、やればいいのではないか。
 麻生副総理ら「農林族」の全容と、安倍総理との戦いぶりについては記事に詳しく出ているので、興味のある方は、ご一読することをお勧めする。

4.獣医師の「不足」について
「足りない」、「偏在しているだけで数は足りている」という議論が散々されているが、『選択』6月号(選択出版)の見方によれば後者で、詳しくは省くが、かつ、看護師などにあたる周辺業務が育っていない問題が存在するらしい。

 まとめるに、「加計問題」の粗筋は、「総理のご意向」を受けた官僚上がりの補佐官が、自民党内の一大勢力をも振り切り、さして必要でもない獣医学部を、利益追求第一主義の学校法人に新設させた、ということか。
 

加計問題で再編される「畜産利権」『選択』7月号(選択出版)
財務で解剖「加計学園」『選択』7月号(選択出版)
首相補佐官和泉洋人『選択』7月号(選択出版)
医師不足という虚構『選択』6月号(選択出版)

都議選と政局『選択』7月号(選択出版)

 昨日投開票、日付が変わるころには全選挙区の当落が明らかになった東京都議会議員選挙だが、小池都知事が「望外の結果に驚いている」と表現したように、都民ファーストの会が衆目以上の圧倒的な勝利を収めた。『選択』3月号(選択出版)での「東西の巨大都市で自民党が空洞化」との見方が、現実となった。

 自民党東京都連下村博文会長は、これを受けて引責辞任を表明したが、大敗の原因の中でも、国政運営上での自民党の醜態が大きなウエイトを占めたことと、この大敗が国政自民党への大きな打撃となる事も間違いないだろう。開票速報を伝えるテレビ番組の枠外でも、自民党若手議員によるものという、「小池新党が準備を整える前に解散すべき」とのコメントが紹介されていた。東京で若手と言うと2区の辻清人代議士とかだろうか。
 若手に指摘されるまでもなく、総裁は先月末から年内解散に向けて動き出したらしい。『選択』7月号(選択出版)によると、「自公に維新の会を合わせた改憲勢力による3分の2確保」を目標に、改憲案提出を大義名分として打って出る構えのようだ。当然、内閣改造では党人事が極めて重要になってくる。
「中だるみ」感が強くなってきた長期政権にとって、今回の惨敗がどう影響するのか。政局が大きく動き出すのは間違いなさそうだ。
 選挙って本当にいいものですね。

『選択』7月号(選択出版)

「一帯一路」は失敗する?『選択』6月号(選択出版)

 先月中旬に北京で開催された「一帯一路」サミットには、プーチン大統領を筆頭に29カ国の首脳と、約130カ国の代表団が参加したという。国際機関級、世界規模の巨大事業に、さぞかし中国人は気分がいいだろうと思う。
 浙江省工業都市義烏から、新疆、カザフ、ロシアを経て東欧へ入り、欧州を横断して果てはマドリード、ロンドンへ到る、まさに欧亜を貫通する貨物列車、「中欧班車」の運行回数は、のべ3,000回を超えるらしい。実に豪気な話だが、必ずしも評判は良くないようだ。
『選択』6月号(選択出版)によれば、貨物列車は船便よりも割高、急ぎのものは航空便を利用するため、無理やり列車便を使わされるのは、迷惑だとの声が上がっているという。沿線国への投資も、国策の下に国有企業が採算度外視で突っ込む形で、リスクが大きいとか。
 人類史上初の規模の世界的公共事業を、中国が負担する、というようにも見え、確かに前途がバラ色とは言いにくそうだ。しかし、やはりなんといっても気宇壮大な一大事業、ワクワク感はある。率直に言って、うらやましい。これからも注目したい。

 

『選択』6月号(選択出版)

「共謀罪」と共産党『AREA』7/3号(朝日新聞出版)

共謀罪」法がスピード施行、政党まで狙い撃ちに?

「すでに監視されている」
 と、いうような扇情的なタイトルの記事が『AREA』7/3号(朝日新聞出版)に掲載されていたので、共産党の話かと思って読んでみると、やはり共産党だった。「すでに監視されている」もなにも、敗戦後すぐの数年間を除いて、常に監視されている。
 民進党にまで監視対象が広がる、というのなら「これは酷い」と思うが、今更共産党を持って来られても、「知っている」というだけで、危機を感じないのは私だけだろうか。むしろ、ここで共産党が登場したことで、いつもの「なんでも反対」かという印象を受ける。「盗聴法」のときも同じような流れだった気がする。
 あと、戦前の武装共産党時代や占領下期の徳田球一時代など、ちゃんと「暴力革命」の実績はあるため、もし公安当局が監視していなかったとすれば、怠慢のそしりは免れないと思う。
 小池晃代議士は破防法適用事例がないのを誇っているが、オウム真理教にも適用できなかったのを見るに、適用されるのは相当難しいのではないか。

共謀罪」と共産党『AREA』7/3号(朝日新聞出版)

あまりにもドン臭い「電子マネー」論議『週刊ダイヤモンド』6/24号(ダイヤモンド社)『選択』6月号(選択出版)

週刊ダイヤモンド』6/24号(ダイヤモンド社)によれば、米国クレジットカード大手のVISAが、VISAブランドのクレジットカードに、VISAの電子マネーを搭載するよう、求めているらしい。
 対する国内勢は、イオン、セブンなどが相互乗り入れや器機の共有化について、水面下で日本連合を模索、これを迎え撃たんとしているとか。
『選択』6月号(選択出版)によれば、中国ではアリババの電子決済アプリ「支付宝」が爆発的に普及、読み取り端末不用なことから「使えない店を見つける方が難しい」状況で、キャッシュカードは「時代遅れの恐竜」扱い、銀行支店が次々と閉鎖されているという。
 なんと言おうか、既に石油燃料機関への置き換えが始まっているのに、石炭燃料機関の規格を一生懸命争っているようで、滑稽この上ない。ビザは「東京五輪までにペイウェーブを日本で普及させたい」そうだが、その頃にはまとめて絶滅しているのではないか。

 

週刊ダイヤモンド』6/24号(ダイヤモンド社

『選択』6月号(選択出版)