ニュースななめ読み『選択(選択出版)』『東洋経済(東洋経済新報社)』ほか

雑誌のニュース記事を読んだ感想をつらつらと書いています。

米国は金正恩をどう始末するか『選択』9月号(選択出版)

 食傷気味と書いてから今まで、北朝鮮のミサイル実験のニュースばかりが報道された。多分ではなく確実に、北朝鮮問題は悪化し続けている。

 金正日が死亡し後継者が誰になるか騒いでいた頃、正恩になれば北朝鮮との関係が変わるかもしれない、というニュースが多かったように記憶している。彼はスイスへの留学経験もあり、欧米社会に詳しい。だから、穏便に民主化していくのではないか、と。

 希望的観測は見事に裏切られた。北朝鮮の核開発は止まる気配もなくICBMへ搭載できるようになるまで、残された時間はそう長くはなさそうだ。『選択』9月号(選択出版)によれば、その時間こそが「最も不安定な時期」だという。米国が実力行使に出るのであれば、米本土を直接攻撃出来るという切り札を得る前でなければ意味が無いからだ。

 このまま北朝鮮が核保有国になるか、米国が阻止するか。どちらにせよ、残された時間も手段も限られている。日本にとっても不安な時間はまだしばらく続きそうだ。

 

『選択』9月号(選択出版)

米国民にとっての他国民の生命『ニューズウィーク』8月29日号(CCCメディアハウス)

 北朝鮮のミサイル実験が食傷気味に感じてから久しいが、多分状況は悪化し続けているのだろう。このまま金正恩が好き勝手を続けるのならば、「世界が見たこともないような炎と怒りに直面する」と警告したトランプだが、あの爺さん、果たして本気だろうか。
ニューズウィーク』8月29日号(CCCメディアハウス)の記事に掲載されていた米国民へのアンケートによれば、米国民の半数近くは、2万人の米軍兵士による犠牲を回避するためには、敵国の一般市民200万人の犠牲も厭わないと考えているらしい。一見すると酷い話なようだが、当然のような気もする。
 それよりも、もし米国が北朝鮮を攻撃した場合、東京も安全ではないのは擱くとしても、少なくとも「ソウル火の海」は確定的に明らかであり、その場合、百万人以上の韓国人が犠牲になるとの見方もある。
 米国民にとって、敵国民と同盟国民、自国民の交換レートは、どれくらいなのだろうか。同盟国とは言え所詮は他国、ここのレートは変わらない気もする。

ニューズウィーク』8月29日号(CCCメディアハウス)

Jパワー消滅『選択』8月号(選択出版)

 国家総力戦の時代、電力国家管理の持ち株会社として、日本発送電が作られた。戦後、GHQによって電力九社に解体されたが、各社ともに資金不足で電力供給が不足し、それを補うべく設立されたのが、今日の電源開発(Jパワー)らしい。
 既に経産省東京電力中部電力の燃料・火力事業を完全統合させることになっており、「国策会社」による電力統制が進められている。『選択』8月号(選択出版)によれば、経産省はこの余勢を駆って、さらにJパワーも引っ付けてしまうつもりだとか。
 ただし、一方のJパワーも独自に電力再編を模索しており、状況は流動的だという。いずれにせよ、発電業界に地殻変動が発生するのは間違いないようだ。

『選択』8月号(選択出版)

介護業界の海外進出『ダイヤモンド』8/12・19合併号(ダイヤモンド社)

『ダイヤモンド』のお盆合併特大号は、介護特集だった。未亡人が嫁ぎ先の義父母介護義務から逃れるために「姻族関係終了届」を出すケースがあるだのといった生々しい話もおもしろかったが、介護の「海外進出」が興味深かった。
「高齢化先進国」日本の国策として、高齢者ビジネスモデルの海外展開を推し進めようとしているそうだが、「日式介護」は中国で苦戦しているらしい。
 立地が悪い、といった論外な原因のほか、「中国は人手不足にしても日本以上に厳し」い、という、確かに考えてみれば当たり前な理由が挙げられており、唸らざるを得ない。日本で育成した中国人の人材も、中国企業に高給で引き抜かれてしまうというが、要は日本企業にカネがないということだろうか。
 最近では進出するどころか、中国企業は日本の介護事業者の買収に興味を示しており、既に数件成立しているのだとか。
 どうも、いよいよ日本も焼きが回ってきた感がある。

『ダイヤモンド』8/12・19合併号(ダイヤモンド社

中外製薬が抗がん剤で「研究不正」『選択』8月号(選択出版)

『選択』8月号(選択出版)によれば、中外製薬抗がん剤に絶大な治療効果があるとする臨床研究結果は、同社が多額の資金提供をする団体の医師らによって為されたものだという。
 ドラマにでも出てきそうな「お手盛り」事案だが、コンプライアンスに厳しい今も、こんなベタなことが発生するのかと、感心してしまった。


中外製薬抗がん剤で「研究不正」『選択』8月号(選択出版)

インド経済は何故中国を越えられないのか『選択』8月号(選択出版)

「中国の次は」と言われ続ける大人口国のインドだが、「世界経済のネタ帳」にあったグラフを見ると、名目GDPでの引き離されっぷりは、もはや話にならない。「ライバル」というのも恥ずかしいだろう。

f:id:ayaya030915:20170802114034p:plain

 インドが経済の対外開放を開始したのは90年代前半、ちょうど中国で改革開放が本格的に始まったのと時期を一にしているはずだが、インドはここ二十年余の間、なにをしていたのか。どうすればここまで差がつくのか。

『選択』8月号(選択出版)に、そのものズバリ「インド経済は中国を越えられない」というストレートな記事が掲載されていた。

 なんでもインドはこの度「GST」なる税制改革に乗り出したらしい。従来、州によって税率が異なり、商品が州を跨ぐには税関で「入州税」を納付する必要があったのだという。是非とも改革すべき、というよりもむしろ、よくも今まで続けていたものだと呆れてしまう。

 製造業が発展しないことには底上げがなされないが、中国を追いかけるどころか、東南アジア諸国の猛追を受けている有様だという。IT産業さえ、「脱インド」の兆しがあるのだとか。

「中国を追い抜く」要素は生産年齢人口以外、本当に何もないようで驚いた

 

インド経済は中国を越えられない『選択』8月号(選択出版)

南スーダンの写真『ニューズウィーク』8/1号(CCCメディアハウス)

 東京メトロの車内で「緊急事態です」という広告を見たのは、5年ほど前だったか。独立したばかりの南スーダンが、食糧危機に陥っており、支援金を募るものだった。肌が黒い子供の写真が此方を見つめる「お決まりの写真」に、正直なところ白々しい気がした。独立して早速食糧危機に直面するようでは、国としての体を成す前に破綻したも同然なのではないかと。

ニューズウィーク』8/1号(CCCメディアハウス)に、「誕生から6年 飢えゆく南スーダン」という、写真が中心の記事が掲載されていた。

 松の木のようにゴツゴツした焦げ茶色の脚、左右互い違いの方を向けた虚ろな目玉、半開きの口。コレラに侵されたこの男の上半身を後ろから支える男性は、近親者だろうか、目を真っ赤に充血させている。

 この、魂魄が肉体を離れようとしている瞬間を捉えたかの如き写真を撮影したブッチャレリは、シリア内戦やウクライナ東部の紛争も取材してきたが、南スーダンはこれらと比べても、「人々は何も持っていない。私が見てきた中で最悪の場所だ」という。

 死体よりもはるかに強烈に「死」を感じさせるこの写真からは、その現実が生々しく伝わってきた。

 

 『ニューズウィーク』8/1号(CCCメディアハウス)