ニュースななめ読み『選択(選択出版)』『東洋経済(東洋経済新報社)』ほか

雑誌のニュース記事を読んだ感想をつらつらと書いています。

「二島返還」論の弱点こそ敗戦国日本の宿痾 北方領土「二島返還」の罠(『選択11月号』選択出版) 中国とロシアはなぜトランプ支持か(『週刊東洋経済11月12日号』 東洋経済新報社)

 拉致被害者の救出を願うブルーリボンバッジは、すっかり保守派の目印として定着、本来の意味が忘れられている感すらある。一方、ブラウンリボンバッジを付けている人を眼にすることは少ない。

 中国の公船が領海に侵入する度に大きく報じられる尖閣諸島や、韓国で反日感情が盛り上がるたびにクローズアップされる竹島と比較すれば、すっかり地味な扱いになってしまっている北方領土問題だが、そういえば黒塗りの街宣車が「北方領土を返せー!」と叫ぶのも、久しく聞いていないようだ。
 時折思い出したかのように、「四島一括返還は断固譲れない」だの、「面積で四島を等分して択捉島内に国境線を引く」だの、「そもそも千島全島は我が領土」だの、好き勝手な話が出てくるが、私自身、何を言ったところで還ってくることは永遠にないだろうと考えていた。

 ところが、安倍首相が提言する「二島返還」論は今のところ世論の反発を受けることもなく、この分では来月十五日の日露首脳会談であっさりと実現へ向け動き出しそうな情勢である。選択11月号でも「一昔前なら国賊扱い」と突っ込まれていたが、おそらく対露感情の変化によるものだろう。今では尖閣問題で譲歩すれば国賊扱いになると思われる。

 北方領土問題で合意が達成されれば、70年来の懸案である平和条約締結への障壁もなくなり、日本はロシアと安全保障分野で連携する可能性も出てくる、ようやく本当に戦後が終わるのではと期待に胸を膨らませていたが、最近の雑誌を読んでいると、どうもそうは上手くいきそうもない。

 『選択11月号』(選択出版)北方領土「二島返還」の罠、『週刊東洋経済11月12日号』(東洋経済新報社)「中国とロシアはなぜトランプ支持か」ともに、仮に二島返還が実現されれば、日米安保が歯舞・色丹に適用されることを、プーチン大統領が受け入れるかに疑問を示している。

 また、もし仮に日本側が歯舞・色丹から米軍を排除すれば、米国は対抗措置として尖閣諸島日米安保の対象外とする可能性についても、指摘されている。

 「戦後レジームからの脱却」について語られる場合、中国や韓国との「歴史戦」や「押しつけの憲法」が念頭に置かれる場合が多いが、敗戦国日本の戦後レジームとは、結局のところ日米安保を根幹とした安全保障体制にその根本がある。国内の「護憲勢力」だの中国や韓国を相手にしたところで、どうやら何も変わらなさそうだ。

 

参考資料

『選択11月号』(選択出版)

週刊東洋経済11月12日号』(東洋経済新報社