巨人軍崩壊『週刊ポスト』6月23日号(小学館)

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
 この記事でも冒頭に引用されている野村克也氏の言だが、何度見ても違和感を覚えないほどの名言なのは間違いないものの、今回の巨人低迷関連記事だけでも聊か使われ過ぎている感はある。
 しかし、そこから高橋由伸監督による「言葉の無策」を指摘しているのには、「なるほど」と思った。毎日毎日「なかなかうまくいかない」といった、誰もが見ればわかる程度のコメントしか出ないのはつまらない。球団関係者(水道橋駅前の酔っ払いかもしれないが)は、「この連敗記録は“ネグレクト”が生んだものです」という。なるほど、極端な例を思い浮かべれば、横浜DeNAベイスターズがまがりなりにも戦える球団になったのは、バカのように明るい中畑前監督の発信力によるところが大きいだろう。
 さらには、選手起用方針の迷走、コーチらの越権行為など、崩壊した組織の典型のような話が並ぶが、そもそも戦力が整備できていないのではないか。30億円も補強に費やしておいて噴飯ものだが、連敗が始まる前から、オーダー表を見て「何を楽しみに試合を見るのだろうか」と不思議に思っていた。「三番松井、四番清原、五番高橋由伸」のような「プレミアム感」もなければ、若手の和製大砲に期待するでもない。阪神暗黒時代末期の「三番浜中、四番桧山、五番広澤」のほうが、まだ若手が入っていただけマシなのではないか。 
「スコット鉄太郎」の例外時期があったものの、伝統的に中継ぎが強いチームではないが、それにしても今年はひどい。平気で3日前に先発してKOされた投手が5回から出てきたりする。マシンガン打線あらため「マシンガン継投」と揶揄されていたベイスターズもかくやという崩壊ぶりは、先発、打線、すべてのかみ合わせをダメにする。
 連敗は13で止まったものの、交流戦での勝率は1割にも満たず、史上最低記録更新が現実味を帯びている。最下位になっても、松井秀喜氏が監督を受けない限り、阿部が引退するまで高橋監督が続投するのだろうか。今回の低迷は、堀内巨人よりも長引きそうだ。

 

巨人軍崩壊『週刊ポスト』6月23日号(小学館