ニュースななめ読み『選択(選択出版)』『東洋経済(東洋経済新報社)』ほか

雑誌のニュース記事を読んだ感想をつらつらと書いています。

加計学園『選択』7月号(選択出版)

 加計学園問題は、結局獣医学部の新設が総理の「ご意向」によるのかという、決定プロセスの問題、愛媛県獣医学部は必要なのか、何故加計学園なのかという政策妥当性の問題や、「岩盤規制」という畜産利権の問題など、様々な論点が錯綜し、「なんだかとにかく炎上している」という、漠然とした印象がある。
 今月と先月の『選択』(選択出版)で、加計学園問題について網羅的に取り上げられていたので、メモとして概要を書き残しておく。

1.加計学園問題を差配した司令塔について
 文科省の前川前事務次官は、「総理は自分の口からは言えないから、私が代わりに言う」と「総理のご意向」を代弁した人物を、和泉洋人首相補佐官だと明言している。
 和泉氏本人は「事実無根」と否定しており、また国会にも出てこないのではっきりしないが、この和泉氏とは何者かという疑問については、『選択』7月号(選択出版)の「日本のサンクチュアリ」で4ページにわたり詳しく報道があった。
 もとは旧建設省国交省で住宅政策のエキスパートとして辣腕をふるったそうだが、業界の利害調整に「官製談合の仕切り役とまでは言わないが」、「官僚離れ」した能力を発揮、際立った異能ぶりを見せていたらしい。
 森信親金融庁長官も「和泉さんの名前を知らない霞が関の幹部職員はほとんどいないだろう」と賛辞を贈るが、いかに多方面にわたり、国家行政に対して影響力を和泉首相補佐官が持っているか、伺わせられる。
 記事中、和泉首相補佐官の「暗躍」ぶりについて縷々記載があるが、これほどの立ち位置ならば、実際に司令塔となったのは、この「超スーパー官僚」との主張は、うなずけるものがある。「政治主導」をうたいつつも、公職選挙により国民の負託を受けていない補佐官が国家行政を差配するという構図は、いかがなものかという疑問がある。ただそうなると、最近よく語られがちな「安倍政権に反旗を翻す官僚勢力」という図式とは齟齬が生じてくるが、政治家でもない首相補佐官が汚れ仕事を担い、いざとなれば首相は知らんふりが可能な構造、と見るべきなのだろうか。

2.加計学園とは何者か
 決してバカにするわけではないが、「加計学園」の「岡山理科大学」と言われても、「岡山にある理系大学なのだろう」程度にしかわからない。『選択』7月号(選択出版)に、経営状況から加計学園に切り込んだ記事が掲載されていた。
 なんでも、岡山理科大の学部新設は獣医学部に始まった事ではなく、2010年代に入ってから、生物地球学部、教育学部経営学部と、立て続けに行われているそうだ。この少子化のご時世、ましてや地方都市で大丈夫なのかと心配になるが、この間、内部留保を着実にため込んでいるらしい。なお会計上、マイナスとなっている大学が大半を占め、慶応なんかも相当の赤字出しているのだとか。
「健全経営」の秘訣は、これはもう単純に言えば、出費を切り詰めているかららしい。学生からすれば、同じ学費を払っていくのなら「損」な大学と言うべきだろう。やはり、京都産業大学にでもやらせた方がいいのでは、というのが記事を読んだ感想だ。

3.「畜産利権」について
「岩盤規制」というが、今回はどうもその「抵抗勢力」が明示されない珍しい事態になっている。インターネット上では民進党玉木雄一郎代議士の家族が獣医師で、愛媛県獣医師会から献金を受けていたとかで炎上していたが、なんとも話が小さい。
『選択』7月号(選択出版)によれば、加計問題が報道された発端は、自民党分裂選挙となった福岡6区補選らしい。というのも、古賀・麻生派推した蔵内勇夫氏こそ日本獣医師会会長、麻生太郎副総理こそ自民党の獣医師問題議連会長なのだという。どこからどう見ても「岩盤規制」で守られている「体制側」はこのラインだが、何故話題になっていなかったのだろうか。まさか麻生派を持ち上げて「安倍叩き」をするわけにもいかない、というところだろうか。籠池理事長や前川前事務次まで使ったのだから、やればいいのではないか。
 麻生副総理ら「農林族」の全容と、安倍総理との戦いぶりについては記事に詳しく出ているので、興味のある方は、ご一読することをお勧めする。

4.獣医師の「不足」について
「足りない」、「偏在しているだけで数は足りている」という議論が散々されているが、『選択』6月号(選択出版)の見方によれば後者で、詳しくは省くが、かつ、看護師などにあたる周辺業務が育っていない問題が存在するらしい。

 まとめるに、「加計問題」の粗筋は、「総理のご意向」を受けた官僚上がりの補佐官が、自民党内の一大勢力をも振り切り、さして必要でもない獣医学部を、利益追求第一主義の学校法人に新設させた、ということか。
 

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