ニュースななめ読み『選択(選択出版)』『東洋経済(東洋経済新報社)』ほか

雑誌のニュース記事を読んだ感想をつらつらと書いています。

随分と軽くなった「文藝春秋」

雑誌の重量の話ではない。中身のことだ。

bunshun.jpトップ記事は、「昭和の怪物 7つの謎」という本が売れている保阪正康氏に乗っかる形の企画「昭和の軍人に見る『日本型悪人』の研究」というもの。お手軽な着想と言われても仕方ないだろう。

目玉は、「サザン桑田佳祐独白」。まるで芸能雑誌みたいだ。

中でもずっこけたのが、「前澤友作(ZOZO)の『金脈』と『人脈』」という記事。成金eーコマース企業の社長に関する記事なのだが、古い文春ファンなら、このタイトルにピンとくるだろう。

そう、文藝春秋の金字塔ともいうべきスクープ記事、立花隆の「田中角栄研究~その金脈と人脈」のもじりである。しかし、自らの輝ける歴史を、自損しているとしか思えないくらい、ZOZOの記事はレベルが低い。時の最高権力者に挑み、田中角栄を退陣に追い込んだ弩級の記事とは、雲泥というか、比較にすらならない内容なのだ。

そもそもが、ほとんど既報の話ばかり。ワイドショーなどで使い古されたエピソードの羅列なので、がっくりくる。「人脈」として登場する人々のインタビューが、また「なんともはや」な話ばかり。

幻冬舎見城徹氏いわく「(前澤氏は)心がこもった男なんだ。俺は白ワインで言えば、ドーヴネとルフレーヴがスキなんだけど、前澤はあるとき、俺の好きな作り手の畑を見るためにブルゴーニュまでプライベートジェットで出かけて行ったんだ。(中略)それは、すごく心がこもっているなと思いましたよ」

まず、ドーヴネとルフレーヴは、ミーハーなワイン飲みなら誰でも好きだという作り手。通人であれば、むしろ「趣味が悪い」と蔑まれかねないことを言っている。で、畑を見に行くと、なぜ「心がこもった男」になるのか、全く不思議な持ち上げ方である。

その他、記事は前澤氏をヨイショする内容が延々と続く。ご本人にインタビューを受けてもらうために、褒めちぎらざるをえなかったのだろう。しかし、だったらこんな提灯記事をやらなくてもよかろうに、と思わざるをえない。

最後の方に形ばかり、女性遍歴や婚外子についての記述があり、「カネの威力をひけらかしているようにしか映らない」と、締めに一言腐しているが、それは誰もが感じていることを当たり前に述べたに過ぎない。

日本の政治や経済、社会を大きく揺さぶるような記事を、どーんとぶつけてきた古き良き文藝春秋は、もう返ってこないこないのだろうか。昔を知る読者は、すでに離れてしまっているだろう。